コラム

GA4で始めるアクセス分析、まずはここから。

2023.08.01
  • コラム
  • Webサイトやアプリのアクセス分析を行うGoogleのツール「Google Analytics 4(GA4)」。以前のGoogle Analytics(Universal Analytics)とは異なるアプローチを取っています。
    GA4の機能を駆使することで、より戦略的なホームページの運営を実現し、事業の成果に繋げることができます。

    この記事では、GA4で始めるアクセス分析に必要な基本的な知識や導入のステップ、使用例についてご紹介します。

    GA4とは?従来バージョンとの違いは?

    GA4は2020年10月14日に正式にリリースされたGoogle Analyticsの最新バージョンです。
    Googleは2023年7月1日をもって、従来のUAを使った新しいデータの収集を停止すると発表しています。
    そのため、UA利用者はGA4への移行を進めなければなりません。

    これからアクセス分析を始めるのであれば、GA4の導入をおすすめします。

    GA4とUAの大きな違いは次の5点です。

    1.イベント中心の計測

    GA4では従来のページビューやセッションの計測方法から、「イベント」中心の計測方法へ変わりました。

    GA4におけるイベントとは、ユーザーがWebサイト上で行う様々な行動を表します。
    例えば、page_view(PV数)やfirst_visit(初回訪問)、scroll(スクロール)といった行動が自動的に収集されます。

    その他Googleが推奨するイベントを設定したり、ユーザーが独自で定義したりもできます。
    このイベント中心の計測により、ユーザーの行動をより深く分析することができます。

    2.ユーザー中心の分析

    ユーザー識別によるUser-ID機能の使用によって、さまざまなデバイス、プラットフォームをまたいでユーザーの行動を把握できます。
    ユーザー中心の分析により、ユーザーがどのようなニーズを持っているか、どのような行動をとる傾向があるか、どのような問題点があるかなどをより詳細に把握することができます。

    3.データプライバシーへの対応

    GA4では、ユーザーのプライバシー保護に関する規制が強化されたことを受けて、Cookieに代わる新しい方法でのデータ収集が導入されました。
    また、データ収集や分析においても、ユーザーのプライバシー保護が考慮されるようになりました。

    4.AIによる分析

    GA4では、AI技術が活用されており、機械学習を利用した予測や分析が可能になりました。
    イベントを自動的に分類して関連イベントをグループ化したり、どのようなユーザーが離脱する可能性が高いか、どのようなアクションがコンバージョンにつながりやすいかなどの予測をレポートします。

    5. BigQueryとの無料連携

    BigQuery(ビッグクエリ)は、Google Cloud Platform(GCP)が提供するデータウェアハウスサービスで、大量の構造化データを高速に分析できるクラウドベースのデータベースです。
    GA4のデータを簡単にBigQueryにエクスポートして分析することができます。

    GA4のおおまかな機能

    GA4のUIは大きく、「レポート」「探索」「広告」の区分で表示されます。

    レポート

    ユーザーの属性や行動パターン、イベント、収益等さまざまな情報がまとめられたレポートが提供されます。

    探索

    基本のレポートにはないデータを組み合わせ、自由にレポートを作成できる機能です。特定のイベントやユーザー、プロパティを自由にフィルタリングやセグメンテーションを行うことで、より精度の高い分析が可能になります。6つのレポートフォーマットが用意されていて、自社の目的に適したレポートを作成することができます。

    広告

    Google広告のアカウントを持っている場合、出稿した広告に関する詳細な情報を見ることができるレポートです。集客(どのようにユーザーを獲得したか) 、行動(獲得したユーザーのアプリやサイトでの行動) 、コンバージョン(コンバージョンの達成パターン)のサイクルを把握できます。

    GA4はUAと全く違う計測コンセプトになったため、慣れるまでは見方や使い方に戸惑うかもしれません。
    Googleでは「アナリティクスアカデミーコース」という無料のオンライン学習コースを用意しています。初級者向けから高度な機能をマスターするコース等、動画による解説で理解を深めることができるでしょう。
     

    またGoogle ユーザーであれば誰でもアクセスでき、GA4すべての機能を使えるデモアカウントがあります。
    Google ブランドの商品を販売する e コマースサイトが使用されており、実際のデータをもとにした各種指標を確認することができます。

    GA4新規導入のステップ

    まずはGA4を導入して、初期設定をしないことには始まりません。以下の手順で進めましょう。

    1.Googleアカウントを作成する

    Google Analyticsにログインするために必要なアカウントになります。

    2.GA4のプロパティを作成する

    プロパティはWebサイトやアプリケーションなど、データを収集する対象を指します。

    3.データ計測用のタグを作成する

    GA4でデータを収集するには、タグをWebサイトやアプリケーションに設置する必要があります。生成されたタグコードをコピーし、Webサイトのエディターに貼りつけます。

    4.データ計測用の「イベント」「探索」を設定する

    自社で必要な情報を収集するイベントやデータ探索を作成します。

    5.データを収集し、分析する

    タグとイベントやデータ探索の設定が完了すると、GA4でデータを収集し、分析することができます。GA4では、AIによる分析が強化されており、より詳細なユーザー分析が可能になっています。

    ステップだけをおおまかに挙げると簡単なようですが、4 と 5のステップが肝であり、難しいところ。大前提として、何のために分析をしたいのか、そして数値をどう役立てたいのかを明確に定義して、必要な情報を得る必要があります。
    コンバージョン率の向上なのか、広告キャンペーンの成果を知ることなのか、データをもとしたデジタルプロパティの戦略策定や改善なのか。もしくはまずは現状を把握して、そこから課題を抽出すると言う進め方もあるでしょう。
    自社で導入やカスタムイベントやレポートの設定・活用が難しい場合は、外部業者への委託もひとつの方法です。

    データ探索 「テンプレートギャラリー」を使った例

    より深い分析を可能にする「探索」には6つのレポートテンプレートが用意されています。

    • 自由形式
    • 目標到達プロセスデータ探索(ユーザーの行動経路を分析・分割・分類する)
    • 経路データ探索(コンバージョンに至るページ遷移)
    • セグメントの重複(属性や行動に基づいた特グループ分け)
    • コホートデータ探索(ユーザーの再アクセス数)
    • ユーザーのライフタイム(LTVの分析)

    こちらはデモ画面を用いたセグメント重複のデータです。複数のセグメントが交わるベン図として見ることができます。
    重なりあう部分にマウスポインタを合わせると、該当する数値を確認することができます。

    このように見出したいデータを「探索」として細かく設定して、自社独自のレポートとして出力することが可能です。

    まとめ

    GA4はUAとは計測のコンセプトが異なるため、導入手順を新たに把握したり、従来にはなかったさまざまな設定をしたりする必要があります。
    そのため慣れるまでは戸惑う可能性があり、労力を費やすことが考えられます。
    しかしながらユーザーの行動と傾向を深く理解できる仕様やAIによる分析、BigQueryとの連携等、高度な機能によって、より適切で迅速な分析が可能になります。

    データを軸にしたホームページの運営は、Webマーケティングにおいて優先させたい事項です。
    最新の分析ツールであるGA4を導入して、自社ホームページの戦略的な運用に役立ててください。