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企業ホームページの目的と成功の指標

2024.05.29
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  • 急速にデジタル化が進んだ現代社会で、その中心に位置するのがインターネットとWebです。ビジネスにおいても欠かせない存在であり、多くの企業がWeb上でホームページを開設・運用しています。今や企業ホームページは、ただ情報を提供するためのものではありません。デジタルな「顔」であり、無限の可能性が広がる仮想の玄関口です。この記事では企業ホームページの目的を考え直し、その成功を測るための指標について深堀りしていきます。

    ホームページの位置づけはこんなに変わった!変遷を知る

    ホームページの位置づけは、黎明期から現代まで大きく変遷してきました。

    1. 黎明期(1990年代初頭〜中盤)

    ホームページは主に大企業や技術者が利用するもので、情報発信としての機能が中心でした。HTMLが主流であり、デザインや対話性は限られていました。商業的な活用はまだ限定的で、インターネットの普及自体が進んでいませんでした。

    2. 普及期(1990年代後半〜2000年代前半)

    インターネットの普及が進み、企業や組織はホームページをビジネスに有効なツールとして認識し始めました。企業情報や製品情報を掲載することが一般的になり、デザインやマルチメディア要素が導入されました。しかし、まだまだ一部の大手企業が中心でした。

    3. 商業利用の拡大(2000年代後半〜2010年代前半)

    小規模な企業や個人事業主もホームページを持つようになり、商業利用が拡大しました。CMS(コンテンツ管理システム)の普及により、Webサイトの構築が容易になり、多様な業種でホームページを持つことが一般的になりました。検索エンジン最適化(SEO)の重要性も認識され、ホームページへの訪問者数やページ閲覧数等が重視されるようになりました。

    4. モバイル時代(2010年代中盤〜)

    スマートフォンの普及に伴い、モバイルフレンドリーなデザインが重要となりました。レスポンシブデザインの導入が進み、ユーザーエクスペリエンスの向上が求められました。また、ソーシャルメディアの台頭により、Webサイトは単なる情報発信の場から、ユーザーとの対話とコミュニケーションの場へと変化しました。

    5. ユーザーエクスペリエンスとデータドリブンの時代(2010年代後半〜)

    ユーザーエクスペリエンスの向上が強調され、データドリブンなアプローチが一般的になりました。WebアナリティクスやA/Bテストを活用して、ホームページの効果を評価し改善することが求められます。同時に、ホームページは企業やブランドの中で不可欠なデジタルプラットフォームとして位置づけられています。

    6. インタラクティブな体験(現代)

    現代のホームページは、単なる情報提供の場を超えて、ユーザーとの双方向コミュニケーションや体験を提供することが期待されています。動画、アニメーション、パーソナライゼーションなどが活用され、Webサイトは企業やブランドの重要なデジタルチャネルとして、顧客との深い関係を築く役割を果たしています。

    ホームページの目的を明確にしよう

    前段の変遷を踏まえると、現代の企業ホームページは会社や製品の情報を提供するばかりでなく、多くの機能を持たせることが可能だとわかります。ホームページに期待できる役割は以下が挙げられます。

    ブランド構築と強化

    ビジュアルデザインやコンテンツを通じて、企業の特徴や価値観を伝え、ブランド認知度を向上させます。サービや商品のファンを増やし売上増につなげられる他、自社の採用活動にも良い影響をもたらすでしょう。

    販売チャネルの拡充

    オンラインストアやサブスクリプションサービスを通じて、新たな収益源を生み出すことが可能です。

    顧客との対話

    コンタクトフォームやソーシャルメディアの統合を通じて、企業は顧客と直接対話し、質問やフィードバックを受けることができます。ユーザーとの長期的で良好な関係性の構築に役立つでしょう。

    市場拡大と新規顧客獲得

    インターネット広告や検索エンジン最適化(SEO)を活用してホームページへの流入を促すことで、新規顧客を獲得し、市場でのシェアを拡大することができます。

    競合他社との差別化

    ホームページは企業を他社と差別化するための手段となります。独自のコンテンツやデザイン、提供する価値などを通じて、企業の独自性をアピールできます。

    このようなホームページに期待できる役割を理解した上で議論を重ね、その目的を明確にしましょう。
    また目的が「集客」と「ブランディング」では、ホームページの構成要素が違ってきます。目的から逆算し、適したコンテンツやデザイン、運用方法へと細かく落とし込んでいくことが大切です。

    ホームページ運用において知っておきたい用語と指標

    まず知っておきたいのは、KGI、KSF、KPIという用語。
    KGI(Key Goal Indicator)は、企業が掲げる戦略的な最終目標(ゴール)を数値にした指標です。例えば売上額アップならば、前年比○パーセント増等、具体的な数値目標として設定します。KGIこそがホームページ運用の目的となります。
    KSF(Key Success Factor)は、KGIを達成するために必要な条件や要素を指します。
    KPI(Key Performance Indicator)は、KGIを達成するための中間目標です。KPIとして使われる代表的な指標をいくつかご紹介しましょう。

    トラフィック関連

    セッション数(訪問数)

    訪問回数を示し、ユーザーがWebサイトへ訪れてから離れるまでを1セッションと表します。30分間操作がないと、新しいセッションカウントになります。

    ユニークユーザー数(UU)

    ユーザー(訪問者)の数を示します。UUはUnique User(ユニークユーザー)の略で、同じユーザーが複数回訪れても1回としてカウントされます。

    ページビュー数(PV)

    ページやコンテンツの総数を示す指標です。PVはPage View(ページビュー)の略で、同じページが複数回表示されても、それを回数としてカウントします。2ページ閲覧すれば2PV、5ページ閲覧すれば5PVとなり、ページのリロードも1PVとしてカウントされます。

    直帰率

    最初に訪れたページでサイトを離脱したユーザーの割合です。

    コンバージョン関連

    コンバージョン率

    特定の目標(購入、会員登録、資料ダウンロード、問い合わせなど)に至るまでの訪問者の割合です。

    コンバージョン数

    特定の目標が達成された回数です。

    企業ホームページの目的を明確にするには、KGI・KSF・KPIを視覚化した「KPIツリー」を作成するのがおすすめです。

    目的に対してのKPI具体例

    企業ホームページにおいてブランディングの成功を測るKPIを例にします。ブランドの認知度を上げることがブランディングの基本。そのためPV数やUU数、セッション数の増加率を見ていくことで、ブランド認知度の推移を分析できます。
    この時アクセス数だけでなく、ユーザーの性別や年代、地域などの属性も見ていくことで、ターゲットに届いているかの検証も可能になるでしょう。またどのような検索ワードでホームページに流入しているかにも注目します。特に社名やサービス名、商品名の検索数はブランディングの効果測定として有効です。

    このようにホームページの目的に適したKPIを設定し、施策に対する成果として指標を確認します。指標の確認ができるツールがあり、中でも多く使われているのはGoogleが提供するWebサイト・アプリのアクセス解析ツールGA4や、インターネット検索の分析ツールであるサーチコンソールです。

    まとめ

    現代社会において企業ホームページは単なる情報提供の場を超え、ブランド構築や販売促進、顧客対話の中心となっています。企業はホームページ運用において明確な目的を持ち、成果を上げるためのKPIを設定することが重要です。しかも一度設定して終わりではなく、適時の見直しと、達成に向けた継続的な施策の実行、改善が必要です。
    市況やユーザーニーズの変化を的確に捉えながら、柔軟に対応することで目的達成を目指しましょう。