コラム

コンテンツマーケティングで潜在顧客へアプローチする

2023.12.05
  • コラム
  • 多くの物と情報が溢れる現代において企業は従来型のプロモーションを行うだけでは、なかなか自社の商品やサービスの魅力に気づいてもらえません。
    デジタル時代におけるビジネス成功の鍵はWebマーケティングを活用して、顧客との強い結びつきを築くことにあります。

    本記事では顧客の興味・関心に沿って有益な情報や価値を提供することで自社のファンを拡げたり、顧客とのエンゲージメントを深めたりする、コンテンツマーケティングの基本を学ぶことができます。コンテンツマーケティングを活用して、潜在顧客へアプローチする方法について探っていきましょう。

    コンテンツマーケティングとは?

    いきなり商品を売り込む営業的なアプローチではなく、顧客が求めている情報や解決策を提供することで自然な形で顧客との関係性を築く手法です。単なる広告や宣伝ではなく、役立つ情報、魅力的なストーリー、専門知識を共有することによって、顧客の関心を惹きつけます。

    もう少し詳しく説明すると、自身のニーズを自覚している顕在顧客は課題解決に向けてリサーチを行ったりするなど、行動を始めています。そのためWebマーケティングにおいては、見合うキーワードを選定して検索エンジンからの流入を増やすSEO施策が有効です。また具体的な事例を発信し、購入した際のメリットをわかりやすく伝える方法も効果的です。

    一方でまだ商品を購入していないけれど、企業やブランドに興味を持っているかもしれない人たちのことを潜在顧客といいます。
    潜在顧客は商品の存在は知りませんが、必要性を感じた場合に購入する可能性が高まる顧客層です。そのため一方的に商品をアピールするのではなく、「読んでよかった」「ためになった」と好感を持ってもらえるコンテンツを通して徐々に信頼関係を築いていき、企業やブランドのファンになってもらう方法が効果的です。この場合では短期での成果を目指すのではなく、数か月~数年という中長期的な目線を持って取り組むことが大切になります。

    コンテンツマーケティングを効果的に進めるステップ

    1.最終的な目標(KGI)と中間目標(KPI)を設定

    最終的なゴールはECサイトの売上アップなのか、企業や商品の認知度向上なのか。目的によっても中間目標は変わってきます。まずはKGIを設定した上で、コンテンツマーケティングにおけるKPIを設定します。 
    例)PV数、セッション数、UU数、SNSシェア数など

    2.ペルソナの設定

    自社の製品やサービスを購入・利用する対象となる架空のキャラクターがペルソナです。ターゲットよりもさらに詳細な要素を設定して、具体的な特徴を持った「理想的な顧客像」を創り出します。
    年齢、性別、趣味、関心事、購買行動、価値観など、さまざまな要素を考慮します。

    例1)健康食品メーカーのペルソナ設定

    • 健康志向のサラリーマン ケンジ: 32歳、男性

    • 職業: 忙しいサラリーマンで毎日の健康管理に関心が高い

    • ニーズ: タンパク質やビタミンなどの栄養を効率的に摂取できる健康食品を求めている
    • 興味: プロテインドリンクやサプリメントなど、手軽に摂取できる製品に興味がある
    • 悩み: 仕事で忙しく、栄養バランスを考えた食事を摂る時間がないため、代替手段を探している

    例2)小型プリンターの購買層ペルソナ設定

    • 学生のアート愛好家 ユリ: 22歳、女性
    • 職業: 大学生で美術を専攻するアート愛好家
    • ニーズ: 芸術的なイラストやデザイン作品を家で印刷するための高画質かつ写真印刷に適したプリンターを探している
    • 興味: 高解像度の写真印刷に対応した機能、特殊な用紙に対応した機能、印刷のスムーズな連続性
    • 悩み: アート作品を再現することに特化したプリンターの選択肢が限られているため、最適な製品を探している

    このように具体的な設定によって、求める情報が明確にイメージしやすくなります。

    3. コンテンツプランニング

    設定したペルソナのニーズや要求に応えるために、具体的なコンテンツの種類やフォーマット、テーマ、配信スケジュール、運用体制などを決定します。
    顧客が製品を購入する過程や体験を可視化するツールである、カスタマージャーニーマップを作成し活用することも有効です。

    4.コンテンツの制作

    ユーザーにとって価値のあるコンテンツづくりに注力します。具体的には次のポイントを考慮して制作を進めるとよいでしょう。

    • 役立つ情報: 課題の解決策やヒント、ガイド、チュートリアルなど、具体的なアクションに結びつく情報が役立ちます。
    • 視覚的魅力:デザイン性に配慮したグラフィックスを含むコンテンツでユーザーの興味を惹きつけます。
    • 簡潔で分かりやすい表現: 複雑な情報をわかりやすく、簡潔に伝えます。ペルソナに馴染みのある言葉や親しみやすいトーンで伝えることが大切です。
    • 感情に訴えるストーリーテリング: コンテンツにストーリー性を持たせることで、ユーザーの感情に訴えることができます。共感を呼び起こすコンテンツは記憶に残りやすくなります。
    • インタラクティブな要素: ユーザーが参加できるインタラクティブな要素を取り入れることで、ユーザーエンゲージメントが高まります。
    • 継続的な更新と付加価値: 新鮮な情報や付加価値を提供することで、ユーザーの関心を持続させることができます。

    5. コンテンツの拡散とプロモーション

    コンテンツを配信した後はSNSやメールマーケティングなどを活用して、多くのユーザーに認知してもらう施策を実行しましょう。

    6. 分析と改善

    定めたKPIの達成状況を分析して、効果測定を行います。無料のWeb解析ツールであるGA4(Google Analytics4)を使うことが一般的です。
    そして分析結果から洗い出した改善点を踏まえて、コンテンツ制作を行うプロセスを繰り返します。

    コンテンツマーケティングの成功事例

    国内外企業によるコンテンツマーケティングの成功事例をいくつか見てみましょう。

    事例1)エナジードリンクメーカー『レッド・ブル』

    レッド・ブルのコンテンツマーケティングは、エクストリームスポーツやアクションを中心にした独自のテーマと、スリリングでエキサイティングな動画コンテンツによる若い世代へのアプローチが特徴的です。ターゲットである若者のライフスタイルやカルチャーに合わせたコンテンツ展開と、アスリートの挑戦・成長といったストーリー性ある映像コンテンツで、ブランドの認知度とエンゲージメントを高めることに成功しています。

    事例2)食品メーカー『カゴメ』

    カゴメは野菜や果物を使ったレシピコンテンツと栄養情報を充実させているばかりでなく、地域ごとの旬の食材や地域特有のレシピを紹介して、地域に根差した細やかなアプローチを取っています。
    またSNS活用したリアルタイムのコミュニケーションによるユーザーとの交流も特徴です。健康的な食生活をサポートする情報提供と家庭的な雰囲気の演出で、ファンを獲得しています。

    事例3)クラウド会計ソフトウェア『freee』

    運営するBtoBのオウンドメディア『経営ハッカー』は、月間400万PVを超える人気メディアとなっています。経営の効率化をテーマに広く情報提供を行うスタイルで、freeeの認知度向上に貢献しています。
    メディア内には導入事例や導入効果シミュレーター、ホワイトペーパーも設置されていて、コンバージョンへの導線もしっかりと設計されており、コンテンツマーケティングを行う企業が参考にしたいポイントが多くあります。

    いずれの企業も商品の直接的な宣伝以上に、ユーザーへ価値あるコンテンツを提供することに注力していることがわかります。

    まとめ:コンテンツマーケティングに大切なのは企業目線ではなく、徹底した顧客目線

    コンテンツマーケティングは潜在顧客へのアプローチにおいて、とても効果的な戦略であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
    大事なのは企業側が伝えたい情報だけを一方的に発信するのではなく、自社の見込み客となり得る潜在顧客層に寄り添い、価値を感じてもらえるコンテンツを発信することです。そのためには彼らが何を望み、何が必要なのか、何に困っているのか、どう伝えることが効果的なのかを徹底的に考えることが必要です。

    ぜひともコンテンツマーケティングを実践して、自社商品・ブランドのファンとのコミュニケーションを促進してください。