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Cookie(クッキー)ポリシーってどこまで必要?

2023.06.20
  • コラム
  • 事業者にとってホームページのユーザー情報はとても貴重なもの。
    事業者側は「クッキー(Cookie)」を使用することでユーザーの行動追跡等を行い、Webマーケティングの戦略に役立てることができます。Cookieは便利な機能を提供する一方で、ユーザーの個人情報が含まれることもあるためプライバシー侵害の懸念があります。

    本記事ではCookieの基礎知識をご紹介すると共に、Cookieポリシーについて考えていきたいと思います。

    そもそもクッキー(Cookie)とは?「キャッシュ」とは違う?

    Cookieとは、Webサイトを訪れた時にユーザーのPCやスマートフォンに保存される小さなテキストファイルのこと。ユーザー側でCookieを有効にすることで保存されるのは、以下のような情報です。

    • ユーザーが入力したIDやパスワード
    • ユーザーがホームページ内で設定した言語や検索条件
    • ユーザーがホームページ内で閲覧したページの履歴
    • ユーザーがECサイトで買い物かごに入れた商品

    ユーザーが再び同じホームページを訪れると、作成されたCookieはサーバーに送信されます。それによって、ユーザーはIDとパスワードの再入力なしでログインできるといった利便性を得ることができます。

    似たような機能に「キャッシュ」がありますが、目的や仕組みに違いがあります。
    キャッシュはブラウザがホームページから取得したHTMLファイルや画像を一時的に保存するための仕組み。データの読み込み速度を高速化し、ユーザーがスムーズにホームページを閲覧できるようにすることが目的です。

    Cookieを使用する目的は何?

    ではCookieを使用する目的は一体何でしょうか?これはユーザー側とホームページ運営者側によって違います。

    前段でも少し触れましたが、ユーザー側にとっては次のようなメリットがあります。

    ログインする手間が省ける

    ログインする際のIDやパスワードの入力が不要になります。
    増え続けるIDとパスワードの管理は煩雑なため、この機能を便利に感じるユーザーは多いでしょう。

    フォーム入力の手間が省ける

    ユーザーの設定や言語をCookieに保存することで、再びホームページにアクセスした際に入力する手間が省けます。
    例えばECサイトでの住所や電話番号、メールアドレス等が挙げられます。

    オンラインショッピングの利便性向上

    ユーザーの購入履歴やお気に入りのアイテムを保存することができます。
    ブラウザを閉じても買い物かごに同じ商品が残っているのはCookieのおかげ。再度商品を検索する手間が省け、スムーズに買い物することができます。

    パーソナライズされた広告の表示

    過去に特定の商品を検索した場合、関連商品や趣味嗜好に合った広告等、ユーザーに興味のある広告を表示させることができます。

    一方の運営者側には次のようなメリットがあります。

    ターゲティングされた広告の提供

    ユーザーの行動をトラッキングすることで、どのページを閲覧したか、どの商品を見たか、どのリンクをクリックしたかなどの情報を収集することができます。
    これによってユーザーの嗜好や興味を把握し、よりターゲティングされた広告を提供することができます。
    それによってクリック率やコンバージョン率が向上し、広告収益を増加させることができます。

    ホームページの改善

    ユーザーがどのようなコンテンツに興味を持っているかを把握し、ホームページの改善や最適化に役立てることができます。

    Cookieのデメリットは?

    一見すると、Cookieは双方にとってメリットが多いように思えます。

    しかし扱う情報が氏名や住所等プライベートなため、ユーザーには個人データの流出や意図しない第三者による利用への不安が生じます。
    Cookieによってトラッキングされた情報が個人に関する情報と結びつくことで、プライバシーの侵害につながることもあります。ターゲティング広告も度を過ぎれば、不快なものになり得ます。

    このように前段でご紹介したメリットが、一転してデメリットになる懸念があります。

    運営者側にとってはデメリットとまでは言えないかもしれませんが、地域で決められた個人情報保護に関する法律や規則に適した取り組みが必要になります。具体的にはEUの一般データ保護規則(GDPR)、米国カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)、日本の改正個人情報保護法等です。

    Cookieポリシーとは?どこまで決めればいいの?

    2022年4月1日に施行された日本の改正個人情報保護法では、Cookieの取り扱いについてより厳格な規制が行われるようになりました。個人情報の利用停止や消去請求要件の緩和、第三者提供規制の強化です。

    運営者側は改正されたポイントを考慮した上で、ユーザーに対してCookie利用に関する情報を明確に告知する必要があります。それがCookieポリシーです。

    改正個人情報保護法によってCookieに関する情報提供は、プライバシーポリシーに含めることが求められるようになりました。
    そのためCookieポリシーは、プライバシーポリシーの一部として取り扱われることが多くなっています。

    Cookieポリシーは書き方が定められておらず、事業者の判断によって作成されているのが現状。
    以下のような内容が一般的になっています。

    1. Cookieとは何か、Cookieの種類、使用目的
    2. Cookieが収集する情報の種類、収集方法、保存期間
    3. 収集情報の第三者への提供について
    4. Cookieの設定方法、拒否方法、削除方法について
    5. その他、プライバシーに関連する情報や、Cookieに関する注意事項など

    Cookieポリシーを決めるにあたっては、まず運営者側が何のためにCookieを使用したいのかを明確にすることから始めます。目的はホームページ利用状況の分析なのか、広告配信のためのデータ収集なのか、利用者の認証やカスタマイズされた体験提供なのか。
    それによって収集する情報の種類や収集方法、保存期間を導き出すことができます。
    さらに改正内容である、第三者への提供の有無や提供先、クッキーの設定方法や拒否方法・削除方法についても解説を加えます。

    こうした内容を含むCookieポリシーを、ユーザーが理解しやすい表現と用語の使用を心がけて作成することが重要です。
    Cookieを第三者に提供して提供先の個人データとID等で結合することで個人情報になることが想定される場合には、ユーザー本人の同意が必要です。
    近年ではホームページにアクセスすると同時に、Cookie使用の同意を問うポップアップやバナーを実装する事業者も増えています。

    まとめ

    ホームページ運営者は適切にCookieを管理し、ユーザーの個人情報とプライバシー保護に十分な注意を払うことが必要です。
    その一環として、事業を行う地域の法律に即したCookieポリシーを定めて明示しましょう。

    Cookieポリシーは様々なWebサイトや公表されているテンプレートを参考にすることで作成できます。大事なのは、それらをそのまま流用するのではなく、自社にとって必要な項目を洗い出して、カスタマイズすることです。
    正しいCookieポリシーの策定は事業者が適切に情報を扱う体制整備につながり、ユーザーから信頼を得る根拠になります。

    Cookieポリシーを含むプライバシーポリシーの作成に不安がある場合には、ホームページ制作業者への相談や、行政書士・弁護士等の専門家に依頼して作成することをおすすめします。